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植物や果物など、ふだんの生活の中にあるものを、デジタルドローイングし、色紙で切り絵に置き換え、さいごにキャンバスに油絵具で描く。
一連の作業の中で、対象物は光の粒へ、混ざらない厚みへ、屈折する物質へと置き換わってゆく。
形と色は削ぎ落とされ、(指からハサミ、筆の先へと、作者からも距離を取りながら、)
時に元の意味を失い、最後に何になっているのか。そしてそれは、なにかかつての大切なものや、プリミティブな感覚を呼び起こす依り代にならないか。そういったことを観る人と探していきたい。
繰り返し同じモチーフを描き、最後にキャンバスに残るもの。それを"シンボル"と呼ぶ。ここ数年、私は身近なものを"シンボル"化する絵を描いてきた。
とは言え、私の絵は一般的に"シンボル"と呼ぶには不完全だ。形や色の中に筆致やもたつき、ゆらぎなどが含まれているからだ。
この「もたつき」や「ゆらぎ」は、目立ちはするが、"シンボル"の大きな意味を変えることはない。そこで、これらを"ジャンク"と呼ぶこととする。
コロナ禍において、絵と向き合う時間が増え、自然とこれらについて考えることが多くなった。作品から離れたり、近寄ったりしながら、それぞれの距離で見えてくるものについて、一緒に考えてゆければと思う。
原口 みなみ
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